抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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わが国の土壌分類は,国の各種事業と共に発展してきたため,農耕地(水田,畑),林野など,事業単位毎の分類が作成されてきた。そのため,異なる地目・土地利用を含む地域を同一基準に基づいて分類された実用的な縮尺の土壌図はほとんどなく,流域レベルの物質移動や土壌炭素蓄積などの環境問題に土壌図を利用するのに大きな制約となっている。一方,日本ペドロジー学会は,新しい土壌分類体系の検討を行い,2003年に「日本の統一的土壌分類体系 -第二次案(2002)-」を発行した。しかし,この案も,礫層の有無や土性などの特徴を区分する下位カテゴリーがないため,実用的な分類単位の提供には十分ではなかった。これらの問題に対処するため,全国土の土壌を分類でき,実用性の高い「包括的土壌分類第1次試案」を作成した。本分類案の作成に当たっては,次の4点を基本方針とした。1)農耕地土壌分類(第3次改訂版)と日本の統一的土壌分類体系 -第二次案(2002)-を融合することにより,作成する。2)蓄積されたデータおよび知見を継承できるように,農耕地土壌分類(第3次改訂版)との対応関係を出来るだけ保つ。3)実際の分類を容易にするため,分類に必要な調査・分析項目を最小限にとどめる。4)入手可能なデータに基づいて検証を行い,必要性が乏しい新たな分類単位・識別基準を導入しない。本分類案は,上位カテゴリーから順に,土壌大群,土壌群,土壌亜群,土壌統群から構成され,キーアウト方式によって土壌分類を決定する。このために,「特徴層位」,「識別特徴」,「識別物質」を出来るだけ客観的かつ定量的に定義し,断面内でのそれらの有無・出現位置をもとに分類名を決める。土壌大群は,造成土大群,有機質土大群,ポドゾル大群,黒ボク土大群,暗赤色土大群,低地土大群,赤黄色土大群,停滞水成土大群,褐色森林土大群,未熟土大群の10土壌大群からなり,各土壌大群は,水分条件や土壌母材などによって1~6の土壌群に細分される。また,各土壌群間で中間的な性質をもつ土壌からその土壌群の典型的な性質をもつ土壌までを土壌亜群に,さらに土壌亜群を土性の違いや礫層の有無などによって土壌統群に細分した。土壌群,土壌亜群,土壌統群の数は,それぞれ,27,116,381である。...(著者抄録)