抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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ネオ・サイバネティクスとはvon Foersterによるセカンド・オーダー・サイバネティクスや,オートポイエーシス概念を発案したMaturanaの「認知の生物学」といった新たなシステム論パラダイムを指す。本論文では,それを主導したGordon Paskの会話理論研究を概説し,ネオ・サイバネティクスに対して果たした貢献について検討した。まず,学習理論として出発した会話理論はより一般的に心理学的・社会学的な指向を持ったサイバネティクス理論として解釈できることを示し,その鍵概念として「有機構成的閉鎖性」と自律的システムによる「情報的開放性」を説明した。次に,会話理論では自律的単位体を研究対象とし,1)個体性の理論,2)会話領域の理論,3)プロセスの理論,4)伝達媒体の理論といった下位理論においてそれぞれ自律性概念を導入していることを論じた。また,そのシステム観は,i)自律的知識構成モデルの洗練化,ii)観察者の発生論的説明枠組みの提供,iii)多様な自律性の設定,iv)再帰的メタ理論による理論的妥当性といった現代的意義をネオ・サイバネティクスに与えていることを考察し,Pask理論の限界がネオ・サイバネティクスの課題であることを示した。