抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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衆議院議員選挙の一部には小選挙区制が採用され,一票の重みの格差は2倍未満が基本と定められている。しかし,2002年再画定時の一票の重みの格差は2.054倍で,その基本は守られていない。この現状に対して批判は多く,議席数配分方式の見直しが提案されている。しかし,議席数配分だけではなく区割画定も格差に影響を与える。そのため,区割画定の影響把握が小選挙区を巡る議論では重要になる。その影響の計測法として坂口・和田(2000)により最適区割の概念が提案された。その後,実測で生じる技術面の困難が根本・堀田(2003)により克服され定量分析が実現された。その分析の結果,定数配分方式や議席数の改定では十分な格差縮小は難しく,区割線の引き方の変更にまで踏み込んだ検討が必要と現在では認識されるに至っている。そこで本論文では,区割線に関し市区郡行政界の変化と二つの県に跨る選挙区を許す県境緩和について定量的に分析し考察する,まず,市区郡行政界は平成の大合併を経て変化をした。その変化により,格差縮小の限界が2001年再画定検討時の1.977倍から5年後には2.153培に拡大し,区割の環境は格差の観点から悪化していることを示す。次に,県境の緩和を許すことで2倍未満が達成可能であること,ただし,それには3県以上に適用する必要があることを明らかにする。さらに,道州制導入まで検討を進め,その効果の限界は1.940倍であることも提示する。これらの結果は,2011年に検討される区割再画定にて従来の区割方針に若干の見直しを加えたとしても格差2倍未満達成は不可能であることを強く示唆する。また,格差2倍未満にこだわることは,地域のつながりを崩す区割画定に直結せざるを得ない状況も示している。(著者抄録)