抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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SKD61の焼入れ冷却途中の高温域・低温域のいずれも冷却速度が小さくなると衝撃値が低下する。高温域の衝撃値低下の原因は,粒界への炭化物の析出,低温域の衝撃値低下の原因は,ベイナイトのラス幅の成長である。高温域では,衝撃値に対する冷却速度の影響は小さく,20°C/minでも5°C/minでも衝撃値の差は小さい。ただし,5°C/minより冷却速度が小さくなるとパーライト析出の可能性があり,衝撃値が大幅に低下する可能性がある。低温域については,冷却速度が低下するにつれて衝撃値が徐々に低下し,低温域の冷却速度は衝撃値に対する影響が大きい。金型を模擬したサンプル(重量484kg)で,焼入れ冷却シミュレーションを実施し,SKD61のひずみに対する冷却速度の影響を確認した結果,高温域での緩冷が低ひずみ化に対し有効であった。高温域の急冷が金型のひずみを増す原因は,高温ほどオーステナイトの強度が低く,熱応力に対して変形しやすいためと考えられる。冷却方法を変化させた焼割れ試験の結果,内外温度差の大きい急冷中に,中心部250°Cで割れが発生した。焼割れ冷却シミュレーションと試験により,靱性・ひずみ・割れに対する冷却の影響を明らかにし,高靱性と低ひずみと割れ防止を兼備した熱処理「e-HIT法」を開発した。SKD61を,e-HIT法,HIT法,衝風冷却法で熱処理を実施し,46HRCに調質したサンプルの中心部から採取した試験片によるシャルピー衝撃試験では,HIT法は高靱性では衝風冷却対比良好な結果が得られたが,e-HIT法は,HIT法よりさらに20~30%高い靱性が得られた。重量500~1000kgの実金型に対し,e-HIT法とHIT法を適用した場合,大型金型に対してe-HIT法の適用により,熱処理ひずみはHIT法の約半分に改善され,e-HIT法のひずみ率はほぼ0.1%以下の実績である。熱処理ひずみが小さいことにより,熱処理後の金型仕上げ時間短縮が期待できる。e-HIT法は,大型熱間ダイス鋼金型を主な対象としている。