抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本論文は,日系企業が台湾社会において,なぜ受け入れられているのかという疑問から出発し,2009年3月に博士号の授与を受けた,「台湾日系企業の『日本的経営』-長期雇用を中心として-」の中で,課題となっていた台湾日系企業における「長期雇用」の重要性を再整理したものである。本研究において,「長期雇用」とは,一度組織の一員になれば,努力をしなくても雇用が保障されるという制度ではなく,内部の厳しい競争と評価にさらされ,全体としての利益を高め,「知識創造」を可能とするものと捉え,効果として使命感や当事者意識をもって全体の利益を高めようとする組織風土を作ることができる制度ということを前提としている。前述の論文においては,日系企業が台湾に受け入れられている要因として,日系企業が「日本的経営」を台湾に持ち込み,現在も継続してその考え方が維持されているという結論に至っている。しかし,台湾が果たして「長期雇用」に適しているかを分析し,台湾日系企業では「長期雇用」が重視されているのかという点については,詳細にまとめ,その流れが分かるような形で示す必要性を感じ,前述の論文の先行研究についてまとめた部分に加筆・修正を加えたものである。本論文の構成は,大きくI~IIIの構成となっている。「I.先行研究の分析」では,経済指標や先行研究から,台湾の経営環境,台湾の就業実態や人材の特性,台湾日系企業の特性等についてまとめている。また,「長期雇用」についても整理を行い,台湾及び各国の日系企業についての比較や離職率と個人主義についてのデータ等から,台湾においては離職率が高いということや商業資本主義的慣行が強いということを明らかにし,商業資本主義的慣行が強くなった背景についても整理を行っている。そして,それらの離職率の高さや商業資本主義的慣行が強いことから,経営理念を強調し,雇用安定を図ることが重要であるため,長期的に関係を築くことが必要となるという流れを整理している。「II.関係機関へのヒアリング調査」では,台湾における日系企業のサポート役という視点から2つの機関に対してヒアリング調査を行っている。...(著者抄録)