抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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無線通信分野における周波数帯域の有効利用や計測分野における測定精度向上の要求から,周波数基準源の高周波化,高安定化が求められている。これらの要求を満たすためには発振器の短期安定度の向上が有効であり,発振器の低位相雑音化が重要となる。これに対し,著者らは周波数同期回路(PLL)をベースとし,PLLループ内に周波数基準となる外部水晶共振回路を設けることで発振器の位相雑音を低減する手法を提案した。PLLは二分岐した電圧制御発振器(VCO)の信号をダブルバランスドミクサに入力し,そこで検出された誤差信号をVCOにフィードバックすることで発振周波数の高安定化を行う。このとき,二分した信号の位相差をπ/2 radとする必要があるため,移相器や遅延線が利用されるが,電圧制御水晶発振器(VCXO)のように高安定な周波数源ではその周波数変動が極めて微小なため誤差信号の検出が困難であった。そこで,本提案方式では,移相器・遅延線の代わりに水晶振動子とキャパシタから成る外部水晶共振路を使用し,直列共振周波数近傍の位相特性を利用した。外部水晶共振回路は非常に高いQ値を持つため 微小な周波数変動に対しても位相変動を拡大して検出することが可能となり,PLLでは不可能であったVCXOのような高安定発振器の位相雑音特性を改善できる。制御系の伝達関数を導出し,位相雑音改善量を予測するとともに,作製した回路で位相雑音が計算どおりに減少することを実証した。さらに,この手法を電圧制御水晶発振器に応用し,もとのVCXOと同等の周波数可変機能を有したまま,位相雑音を低減できることを示した。