抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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『周髀算経』は,古代中国の宇宙観の1つである蓋天説を記述した文献で,宇宙の構造に関する数値をどのように求めるかを述べた天文書であり,宇宙の構造を求めるための各種の計算法を記述した数学書でもある。『周髀算経』の数値をもとに,古代の天体現象を研究するためには,数値の精度の吟味とともに数値の由来についての考察が必要である。天地が互いに平行平面をなす蓋天説の宇宙像では,天に存在する太陽を初めとする天体の地上からの高さは,時刻・季節と無関係に8万里という一定の値になっている。「一寸千里則」は,天地が8万里を隔てた平行平面をなすという蓋天説の宇宙像から必然的に導きだされる法則であって,実測の結果から帰納されたものとは考え難い。『周髀算経』にでてくる「里」は,宇宙を観測する器具である表の影と蓋天説の宇宙の定数を結びつける,いわば蓋天説における「宇宙里」とでも称すべき単位であって,現実に土地の計測に使われている計量単位である里とは異なるものであると認識すべきである。