抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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ヒト テロメアのDNAによって形成されるG-四重鎖構造(G4量体構造)は,非常に多様な分子内G-四重鎖コンフォメーション構造をとることがわかっている。結晶状態では平行ストランドのコンフォメーションが観察され,また,K
+溶液中では少なくとも4つの別のコンフォメーション構造が報告されている。そのため本当の細胞環境下で,テロメアがどの様な構造を好んでとるかという問題が起こる。ここではテロメア領域にあるTTAGまたはCTAGの繰り返し配列を3つまたは4つ持つ,ヒト テロメアG四重鎖のDNAフラグメントを用いて,K
+を含むPEG,フィコール,エタノールアセトニトリル,ジメチルスルフォキシドを高濃度に含んだ濃密水溶液におけるNMR構造を測定した。さらにCDシグナルは平行ストランドG四重鎖が260,240nmに,(3+1)型G四重鎖が290~295nmに特徴的なスペクトルを示すので,それをもとに溶液構造を定量した。これらの結果から水分子の枯渇によるK
+含有の濃密溶液において,4つの異なるG四重鎖コンフォメーションがプロペラタイプの平行ストランドG四重鎖に切り替わることを示した。溶媒分布の分子動力学シミュレーションは水分子の枯渇した環境における平行ストランドG四重鎖の形成を示した。このように,生細胞の環境に近い環境での高次構造の測定は,オンコジーンプロモータやその他のゲノムGリッチ配列の真の構造の推定に拡張することができ,ガン治療薬の開発などに有益な情報を与えることが期待される。