抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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遅れ破壊の評価法として,既報で筆者らは開発した通常の引張試験速度で実験するCSRT(Conventional Strain Rate Test)法とその妥当性を報告した。本研究では,V添加鋼材を用いてCSRT試験を行い,遅れ破壊抵抗特性を明らかにするとともにCSRT法の有効性,汎用性を検討した。さらに,V添加鋼に関してVCによる水素の吸蔵および放出特性を調査して,水素トラップ特性と遅れ破壊抵抗特性との関係を検討した。水素チャージ法は前報に準じた。CSRT法による引張強さ1455MPaのV添加高強度鋼の遅れ破壊抵抗特性を評価結果,並びに,VC添加鋼の水素チャージ,その後の大気中に数時間~2.5カ月間放置での水素吸蔵・放出挙動による調査結果を示した。以下の結果を得た。1)CSRT法は水素を試験片に均一に(飽和するまで)チャージすれば容易に遅れ破壊抵抗を求めることができる汎用的な方法である。2)V添加鋼の切欠断面部の公称応力と水素量の関係より,擬へき開破壊,粒界破壊,遅れ破壊強度,水素吸蔵等の条件を整理できた。3)SCM435クラス鋼の場合,切欠形状の影響はなかったが,V添加鋼の場合には切欠形状の依存性が認められた。4)V添加鋼の微細なVC炭化物による水素トラップの効果を明らかにした。5)水素吸蔵後,大気放置,さらに水素チャージを行うなどの水素量の増減によって,鋼は破壊抵抗曲線にしたがって擬へき開破壊と粒界破壊との可逆的な破壊形態を呈する。