抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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農業による環境負荷低減が叫ばれる近年,水稲栽培技術のうち種子消毒において化学合成農薬を使用しない技術として60°Cの温湯に10分間浸漬する温湯消毒法が急速に普及している。本報では,温湯消毒技術およびそのわが国における普及状況と栽培におよぼす影響について,これまで報告されている知見をまとめて紹介する。2008年におけるわが国での温湯消毒技術の普及率は約10%(17ha)と推定された。60°C,10分という処理条件で,ほとんどの水稲種子伝染性病虫害の防除に効果があることが示されている。しかし,温湯消毒法では,吸水を2時間以上行った種子,貯蔵期間の長い種子,発芽率の低いロットの種子,ジャポニカ品種およびインディカ品種とも一部の品種で発芽率の低下が報告されている。また,発芽率には影響がなくとも出芽率には影響をおよぼすケースもあり,遺伝的に多様な品種に処理する場合は,注意が必要である。その一方で発芽・出芽促進効果もみられ,種子のフィールドパフォーマンスを高める技術として発展する可能性を十分秘めている。大型の処理装置の開発も進み,廃液処理が不要である本技術は,今後国内での普及が予想されるほか,海外への普及も期待される。(著者抄録)