抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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互換性(Compatibility)とは,計算機のハードウェアやソフトウェアが,仕様の異なるものに置き換えられた上でも,元通りの動作をするという状態のことをいう。この互換性は,コンピュータの出現以来のキーワードのひとつであり続けていた。しかし,現在その意義は大きく変容しつつある。逆説的に言うならば,互換性の言葉にしがみつくことは,今日のITの動向を理解するためには,阻害要因にもなりうるというのが,本稿での仮説であり主張である。そのために,本稿では,最初に互換性の概念を構造的に把握する枠組みを提供する。次に,ITにおいて互換性がいかに大切であったかを,歴史的な2つの事件を通して振り返る。最後に,コンピュータの中で多くの需要を占めるメインフレームとパソコン,ケイタイに焦点を当て,各節にてそれぞれのコンピュータの持つ専用アプリケーションが,専用機を代替しつつある事例を取り上げる。これにより,従来重要な価値と考えられてきた互換性に関して,パーソナルな汎用の情報機器が浸透するにつれ,その重要性は下がりつつあること,専用機を汎用機の専用アプリケ-ションが機能互換により代替しつつあること,プログラム互換の重要性が低下してきていることを示した。今日での主役は,汎用機からパソコンに,さらにパソコンからケイタイヘ変わっている。それとともに,Compatibilityは,もはや争点ではありえなくなったのである。