抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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光放射応用分科会は,照明学会の8つの分科会の一つである。本稿では,照明学会における光放射応用分野の研究調査の経過を総括して,光放射応用分科会に関連する研究分野の動向を論考し,今後の調査研究活動を展望する。照明技術を大きく分けると,第1には,直接的な人間生活に役立たせる照明技術があり,第2には,人の営みとしての産業の中に人工光源を活用する技術がある。本分科会がカバーすべきものは後者の分野である。本分科会の研究分野は紫外・可視・赤外の広波長域であり,分野は多岐にわたるが,現在,バイオ,生体分野が主要活動分野であり,これまでの特集企画は,「生物への光応用技術」,「食品生産・流通における赤外放射の応用」,「光技術を応用した植物工場」などであり,偏りがみられる。しかし,近年,新しい固体光源の開発が進み,また,従来の放電型光源でも,効率の改善や大面積化,さらには極端紫外に至る波長域の拡大などの技術革新が進められており,それにともなって新しい応用技術が進展してきている。一方,遠赤外のテラヘルツ領域でも,新しい光源やそれを応用したセンシング技術などが発展してきている。今後の照明学会の発展においては,第2の分野をより活性化していくことが強く望まれる。照明関連の産業においても,近隣諸国との過当競争による影が見え始めている状況下で沈滞した産業構造の打開を図るには,光源単体での産業というハードウエア的な視点を超越したより高く広い視点で,照明のソフトウェア部分も含めたシステムウェア的な新規産業の育成が望まれる。本分科会が扱うさまざまな光放射応用技術は,まさにそのようなシステムウェアの多くの事例を取り扱っていくものであり,照明関連の新しい産業が創出されるシーズを開拓していく役割を担っているといえる。このような新しいシステムウェアは,国内での実証や適用にとどまらず,知的財産として海外への輸出も可能であり,高度に発展した先進国のビジネスモデルの例として期待される。小さいながらも,照明という1つの科学技術から日本の産業復活の一助となれるよう,基礎から応用にわたる本分科会の調査研究活動を着実に進めて行くことが必要であると考える。