抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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ハナバチ群集と餌資源としての開花植物との関係を,茨城県の菅生,筑波山,八溝山の3地点で調査した。菅生では37科110種の開花植物が記録され,そのうち20科36種の開花植物にハナバチが訪れた。筑波山では50科139種の開花植物が記録され,そのうち24科47種の開花植物にハナバチが訪れた。八溝山では42科138種の開花植物が記録され,そのうち22科57種の開花植物にハナバチが訪れた。いずれの地域でもキク科植物に多くのハナバチが訪花しており,虫媒花として知られ種類数も多いキク科は,茨城県下でもハナバチ類の餌資源植物として重要な役割を担っているといえよう。中でもヒメジョオンにはいずれの場所でも多くのハナバチが訪れていた。ヒメジョオン(菅生,筑波山,八溝山),オオイヌノフグリ(菅生),セイヨウタンポポ(筑波山),ニガイチゴ(八溝山),オカトラノオ(八溝山),ヨウシュヤマゴボウ(八溝山)は,多くのハナバチに送粉していた。これらの植物は,開花期間が比較的長い種が多い。それに対しオオジシバリ(菅生),エゴノキ(筑波山),イヌザンショウ(筑波山),ツリフネソウ(八溝山),ガクアジサイ(八溝山)は,送粉するハナバチが限られていた。これらの植物は,開花期間が短かったり,花の形に特徴があったりする種が多い。菅生では,キク科は29種が確認され,そのうち14種に総個体数の70.7%(530個体)のハナバチが訪れた。その中で秋期に大量に開花するアキノノゲシと外来種のセイタカアワダチソウは,秋のハナバチの大量発生を促した。中でも単独性でキク科への狭訪花性が知られているアシブトムカシハナバチとオオムカシハナバチが大量に発生した。特定種の大量開花は,その植物へ狭訪花性を示すハナバチの大量発生を促すことが示唆された。以上の結果から,ハナバチ群集は,開花植物の種や開花量の影響を強くうけると考えられる。(著者抄録)