抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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天然繊維状鉱物のアスベストは,優れた物性をもち大量に産して安価であることから,工業化に必須の材料として先進国で大量に使われてきた。一方,肺がんや中皮腫を発症する発がん物質であることが明らかとなり,近年は禁止・代替化が進行している。発症するまでの潜伏期間が極めて長いため,先進国では使用方法を誤り多くの犠牲者を出している。現在,工業化を迎えた国々も同じ轍を踏もうとしている。本稿は,アスベストの定義について紹介した後,クリソタイルと角閃石アスベストの結晶構造,アスベスト様繊維(asbestiform)とへき開片(cleavage fragment)の関係,アンソフィライト・アスベストの風化によるタルク化の現象,などの鉱物学的研究成果を紹介した。さらに,アスベストの発がん性については,「体内耐久性のある細くて長い繊維はあまねく発がん性が強い」とする動物実験の知見を紹介した。