抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本研究は都市型農業がおこなわれている神奈川県厚木市の棚沢地区において,高度効率化を目指した窒素施肥管理の確立のために行ったもので,ここでは水稲の収量を最大にする最適穎花数とそのために必要な体内窒素量を検討した。栽培試験は東京農業大学棚沢水田において1998年から2008年にかけて行った。供試品種は水稲日本晴,コシヒカリおよびタカナリとし,試験区は典型的に施肥法が異なるもの,および基肥施用の有無と異なる追肥時期の組み合わせたもので構成し,合計180区であった。調査項目は収量および収量構成要,体内窒素濃度および体内窒素量の経時変化であった。タカナリは日本晴やコシヒカリよりも一穂穎花数が多い傾向にあり,その結果,単位面積あたり穎花数および玄米収量が明らかに多かった。単位面積あたり穎花数と玄米収量の関係は日本晴およびコシヒカリの日本型品種とタカナリとは明らかに異なった。収量を最大にする最適穎花数は日本晴およびコシヒカリでは35,000,タカナリでは48,000m
-2であった。また,単位面積あたり穎花数は穎化分化終期および出穂期における体内窒素量の間には品種ごとに密接な関係があった。それらの関係を用いて最適穎花数に到達するために必要な出穂期における体内窒素量は日本晴,コシヒカリ,タカナリのそれぞれ,12.5,16.0,17.2gm
-2であった。一方,無窒素区から算出した天然供給由来の吸収窒素量は体内窒素量の50~60%であり,残りは施肥に依存することになる。したがって,棚沢水田における水稲栽培では,最適穎花数を確保するために吸収率が高い幼穂発育期を中心とした窒素追肥を積極的に行うことが推奨される。(著者抄録)