文献

J-GLOBAL ID：201102298902324681   整理番号：11A1130518

光強度がチャ新芽の葉色および成分に及ぼす影響

Influence of Light Intensities on the Color and Ingredients of New Shoots in Tea Plants

著者 (5件)： 小林栄人 (静岡県農林技研 茶業研究セ) ,  中村順行 (静岡県農林技研 茶業研究セ) ,  鈴木利和 (静岡県農林技研 茶業研究セ) ,  大石哲也 (静岡県農林技研 茶業研究セ) ,  稲葉清文 (静岡県農林技研 茶業研究セ)
資料名： 茶業研究報告  (Tea Research Journal)
号： 111  ページ： 39-49  発行年： 2011年06月30日 
JST資料番号： G0753A  ISSN： 0366-6190  CODEN： CHKHB9  資料種別： 逐次刊行物 (A)
記事区分： 原著論文  発行国： 日本 (JPN)  言語： 日本語 (JA)

抄録/ポイント： 静岡県では,古くから被覆栽培が行われているが,新芽の葉色が濃緑から黄色に変化する際の光強度は明らかになっていない。そこで,強遮光下における新芽の黄色化と成分変動について解明するため,新芽の葉色が濃緑色から黄色へと変化する際の光合成有効光量子束密度(PPFD)およびそれに伴う成分変動について調査した。光照射試験は,恒温器内で「やぶきた」1年生ポット苗に光強度(PPFD:0,2,7,70,1300μmolm^-2S^-1) を変えて14時間日長にて2週間照射し,新芽の葉色および成分の変化を調査した。強遮光試験は,「やぶきた」28年生圃場で,一番茶の約2葉期から3週間,寒冷紗を用いて遮光率(0%,85%,98%,100%)を変えて直接被覆を行い PPFD,新芽の葉色および成分の変化を調査した。その結果,新芽の葉色は,PPFD:70μmolm^-2S^-1照射が最も濃緑化し,PPFD:7および2μmolm^-2S^-1で淡緑化し,PPFD:0μmolm^-2S^-1では白黄化した。また,遮光試験では,日中の平均PPFDは,露天区は930μmolm^-2S^-1,85%区は112μmolm^-2S^-1,98%区は7μmolm^-2S^-1,100%区は0μmolm^-2S^-1であり,85%遮光が最も濃緑化し,98%遮光はやや淡緑となり,100%遮光は白黄化した。新芽のアミノ酸含量は,PPFDが低いほど,また,遮光率が高いほど増加した。特に,100%遮光はアミノ酸含量が被覆開始時に比べて2倍以上増加し,アルギニンは約3倍,セリンは約4倍,アスパラギンは約50倍増加する傾向が見られた。新芽のカテキン類含量はPPFD:1300およびOμmolm^-2S^-1がPPFD:70μmolm^-2S^-1に比べて多く,一方,カフェイン含量はPPFDが低いほど,また,遮光率が高いほど増加した。以上のことから,新芽の葉色はPPFDの低下に伴い濃緑化し,PPFD:7~2μmolm^-2S^-1程度で淡緑化し,PPFD:0μmolm^-2S^-1では白黄化するとともに,新芽のアミノ酸含量が著しく増加することが明らかとなった。

シソーラス用語： *密度 ,  *光合成 ,  *遮光 ,  *芽 ,  *色 ,  *成分 ,  *チャ ,  被覆 ,  被覆布 ,  色相 ,  *アミノ酸 ,  フラボノイド ,  多価フェノール ,  緑 ,  黄 ,  脂肪族アミン ,  脂肪族カルボン酸 ,  第一アミン ,  脂肪族アルコール ,  アミノアルコール ,  ヒドロキシ酸 ,  カルボアミド ,  ジカルボン酸 ,  ラクタム ,  ウレア化合物 ,  光量子束密度 ,  *光合成光量子束密度 ,  *新芽 ,  *葉色 ,  寒冷紗 ,  カテキン類 ,  中枢興奮薬
準シソーラス用語： *PPFD ,  やぶきた ,  色相角度 ,  *アミノ酸含量 ,  濃緑化 ,  淡緑 ,  白黄化

分類 (3件)： し好料作物  (FC03076D) ,  植物に対する影響  (EE04030Z) ,  作物の品種  (FC02020V)

物質索引 (4件)： アルギニン ,  セリン ,  L-アスパラギン ,  カフェイン

引用文献 (21件)：

• 1) 静岡県産業部農林業局お茶室(2010):静岡県茶業の現状, 40.
• 2) 青野英也・梁瀬好充・田中静夫・杉井四郎(1974): チャ栽培における化学繊維被覆資材の利用とその効果. 茶試研報No12, 1-123.
• 3) 西條了康, 竹尾歩忠一(1978): 生育ならびにしゃ光による各種成分の代謝機能の変化. 茶技研, No54, 37-43.
• 4) 青木智(1982): 被覆による茶葉光合成機能の変化. 茶研報No62, 8-13.
• 5) 阿南豊, 中川致之(1974): 茶葉の科学成分含量に及ぼす光の影響茶技研 No4, 132-138.

タイトルに関連する用語 (4件)： 光強度 ,  チャ ,  新芽 ,  葉色