抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本研究では対象時期はひとまず1960年代末とする。我国の民生用電子機器においては,カラーテレビの普及期・テレビのトランジスタ化の時期であり,日本におけるIC化・コンピュータ化が本格化する時期であった。本ノートでは,戦後日本の電子部品工業史をさまざまな側面から議論することにより,その特徴を抽出し,あるいはその抽出のためにはさらにどのような側面を研究すべきかを考察する。以上のように,電子部品を中心に見ていくことにより,戦後日本の電子工業のヒストリオグラフィを示し得たと考えている。電子部品工業史を通じて日本の電子工業史を見るとき,まず目につくのは欧米技術の移植・貧しかった出発点・敗戦・占領政策・朝鮮特需・勤勉の精神・過当競争と製造技術の向上等といった,特殊性である。しかし,その表層の下にあるのはラジオ放送に始まる大衆文化の大きな流れであって,欧米と共通な普遍性である。それは,放送文化・ラジオテレビ文化と呼ぶべき歴史上一度かぎりの社会現象である。この文化とエレクトロニクスという技術を結ぶ環は,ラジオマニアである人々であり,ラジオマニアを牽引したラジオ雑誌であったと思われる。