抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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混合原子価(MV)化合物は電子移動(ET)あるいは電荷移動(CT)現象の基礎を研究する上でもっとも優れたモデル系の一つである。多くのMV化合物が知られているが,それらの化合物の内,最近注目されている有機MVは有機発光ダイオード(OLED)や太陽電池などの効率的な正孔輸送物質として応用されると共に,ET現象の基礎に関する豊かな知見を与えている。本レビューはこれらの有機MV化合物研究のこの10年間の発展について包括的に論じた。第二章ではET理論(Marcus理論,Marcus-Hush/Mulliken-Hush理論,一般化Mulliken-Hush理論,量子化学的方法を含む)の基礎について一般的に論じた。第三章では有機MV化合物におけるETあるいはCT特性を以下の化合物群に分けて論じた: 1)窒素含有酸化還元中心を含む有機MV化合物(ビス(ヒドラジル)及びビス(ヒドラジン)ラジカルカチオン,ジニトロ芳香族ラジカルアニオン,ビス(トリアリールアミン)ラジカルカチオン,ジアリールアミン酸化還元中心とチオフェンスペーサからなるMV化合物,フェノチアジンとジヒドロジメチルフェナジン酸化還元中心を含むMV化合物,ジアルキルアミン酸化還元中心を含むMV化合物),2)炭素主体の酸化還元中心を含む有機MV化合物(ビス(ペルクロロトリフェニルメチル)ラジカルアニオン,ビス(1,4-ジメトキシベンゼン)ラジカルアニオン,キノンとイミン酸化還元中心を含むMV化合物,その他),3)硫黄含有酸化還元中心を含む有機MV化合物,4)ホウ素酸化還元中心を含む有機MV化合物,5)中性有機MV化合物,6)多次元MV系(三角形,六角形,四面体及び正方形トポロジーを有する有機MV化合物)。第四章では有機MV化合物の応用可能性を概観した。