抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
製造会社において技術情報は,1)研究部門から事業部門,2)事業部門から製造部門,3)製造部門のうち国内工場から海外工場,4)技術部門全般から経営層/間接部門/スタッフ全般への伝達される。本論文では,技術情報の伝達に関する3つの事例から知の伝達の成否について考察した。まず,3)の事例では日本企業の中国工場において5Sの精神を根付かせることが難しく,説得を成立させるための共通の合理性に変わるカギとして,i)共通の判断論理,ii)師弟関係についての共通の認識,iii)個人を超越した組織としての目的の共有を挙げた。また,伝達すべき情報が経験則で合理的法則でなく,情報の受け手が外国人で形式論理しか受け付けない点で伝達が成功しなかったことを説明した。次に,1)の事例として基本開発を終え,寿命の確保という実用上の課題を残すだけの新しい出力デバイスを端末機器に搭載するという課題について,顧客の顔を思い浮かべて臨機応変に対応する事業部門への情報伝達の失敗を取り上げた。本事例では合理的な説明は可能であったが,i)に違いがあったといえる。また,4)に対する事例ではiii)によって伝達が成功し,技術情報は合理的客観性を欠いてもi)~iii)のどれかによって伝達に成功できる可能性を論じた。