抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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ウラン-鉛系は地質学的及び隕石学的試料に対して広く利用されている同位体年代測定法であり,長寿命でかつ異なる崩壊定数で
238Uと
235Uがそれぞれ
206Pbと
207Pbに崩壊することが利点となっている。
238U/
235は運動論的な分別が無視できるため137.88で一定であると考えられてきた。本論文ではU-Pb年代測定に用いられる副成分鉱物(ジルコン,モナズ石,燐灰石,チタン石,閃ウラン鉱,ゼノタイム,バッデレイ石)の58試料に対して
238U/
235を正確に決定した。ペグマタイト由来のモナズ石から最も低い値(137.743)が,凝灰岩のチタン石から最も高い値(138.283)が得られ,その範囲は>5.4‰に及んだ。ジルコンは45試料中44試料が約1‰の範囲内にあり,また閃ウラン鉱,燐灰石,ゼノタイム,バッデレイ石の5試料はこのジルコンの範囲内にあった。これらの平均値から得た137.818±0.45(2σ)を地球のジルコンの平均的な値としてU-Pb年代測定に用いることを提唱する。これは従来の
207Pb-
206Pb年代を最大で約100万年減少させることになる。本研究で観測された
238U/
235の変動は,同位体的に重い特異なリザーバー由来,酸化還元による低温での分別を受けた源岩の反映,また高温でのマグマプロセスにおける同位体分別が原因と考えられる。一方で,低温環境で分別を受けた物質は地殻のリサイクルプロセスにより高温環境に取り込まれて同位体的に均質化されることが予想される。