抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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傾斜放牧草地における合理的な施肥対応に資することを目的として,牛の排尿と尿由来養分供給の分布の評価を行った。傾斜放牧草地(1.5ha)において10mメッシュ毎の排尿回数を調査し,この排尿回数と尿中養分量から尿由来養分供給量を算出した。メッシュ毎の年平均排尿回数は傾斜角との間に負の,比高との間に正の相関関係が認められた。折れ線モデルにより,年平均排尿回数は傾斜角10.7度に折曲点をもつことが示された。牧柵および庇陰樹周辺の排尿回数は放牧施設以外のメッシュより有意に多かった(p<0.05)。重回帰分析により,年平均排尿回数には10,7度以下のメッシュが2つ以上隣接する条件,比高および牧柵が関連することが示された。尿由来窒素およびカリウム供給量が供試草地の施肥量(NおよびK<sub>2</sub>Oそれぞれで120および30kg/ha)の25%以上となる面積割合はともに84%であり,施肥量を超える面積割合は29および84%であった。放牧草地のカリウム施肥量は,ふん尿の還元による土壌蓄積を考慮して当該地域の採草地の標準施肥量より少なく設定される。同採草地のカリウム施肥量(K<sub>2</sub>Oで100-120kg/ha)を超える尿由来カリウム供給量を示した面積割合は29%であった。また,前報(山田ら2011)の排ふんを考慮した,ふん尿由来窒素およびカリウム供給量と施肥量の比較結果は尿由来養分供給量の結果と類似した。以上より,傾斜放牧草地の窒素とカリウム施肥は,比高が高い場所,低傾斜角の広い場所および牧柵沿いのように本試験で排尿回数が多かった場所で無施肥または減肥とすることが妥当と考えられる。(著者抄録)