抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本研究では神奈川県箱根火山の早雲山および大湧谷の噴気地帯における堆積物中の有機成分の環境地球化学的研究を行った。試料採取地点の水温は35.8~85.7°Cで,pHは2.40~7.94と酸性から弱アルカリ性であった。全有機炭素(TOC)濃度は0.02~1.86%,全窒素(TN)濃度は0.000~0.425%とかなり低く,生物生産量が小さいことが示された。TOC/TN重量比は4.4~47.1と大きく変動し,微生物が主体の試料から維管束植物が大きく寄与している試料まで存在することが明らかになった。一連のn-アルカン(n-C
15~n-C
35)は奇数炭素優位で堆積物中に検出され,主成分はn-C
17,n-C
21,n-C
27,n-C
29,またはn-C
31と試料間で大きく異なった。一連のn-アルカノイック酸(n-C
12~n-C
34)は偶数炭素優位で検出され,最も卓越する脂肪酸は全てn-C
16であった。これらの試料には一連の分岐脂肪酸および不飽和脂肪酸が検出された。ステロールはコレステロール,24-メチルコレステロール,24-エチルコレステロール,24-メチルコレスタノールまたは24-エチルコレスタノールが主成分であった。一連のフェノールカルボン酸(o-ヒドロキシ安息香酸,m-ヒドロキシ安息香酸,p-ヒドロキシ安息香酸,バニリン酸,シリンガ酸,p-クマル酸およびフェルラ酸)が検出された。バニリン酸が多く含まれ,見かけ上裸子植物の寄与が大きかった。一方,TOC/TN重量比,長鎖n-アルカン,長鎖n-アルカノイック酸およびC
29ステロールには正の相関がみられ,維管束植物の寄与の大きさと調和的であることが示された。(著者抄録)