抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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クラウドコンピューティングの技術,サービス,ビジネスバリエーションの展開はきわめて迅速かつ多様であり,経済社会の多様な部分への浸透が進んでいる。その結果,経済社会活動のクラウドヘの依存度が高まっており,「社会インフラ」としての位置を占めるに至っている。したがって,クラウドが機能を停止した場合,その及ぶ範囲は,企業や個人の連絡・消息を支える通信全般(特にネット系通信),サプライチェーン,物流など産業活動を支える情報通信基盤,行政機能,ライフラインを支える重要インフラの機能等,多岐にわたる可能性がある。したがって,クラウドコンピューティングにおけるサービスの可用性,それを支えるシステムやデータセンタインフラの信頼性・耐障害性をいかに確保するかは,きわめて重要な検討課題といえる。このような視点から,(独)情報処理推進機構(IPA)では,「クラウドコンピューティングの社会インフラとしての特性と緊急時対応における課題に関する調査」と題して,クラウドの経済社会への浸透実態と,クラウドの機能を緊急時や災害時に維持継続するための条件等について,調査と検討を行った。本稿では,本件調査結果の概要と結論の要点を紹介し,「ノンストップクラウド」実現の可能性について考察した。その結果,クラウドはますます経済社会への浸透を強めると同時に,その供給サイドの多様化はサービスの信頼性や安定性の上での課題を大きくしていることがあきらかになった。一方,災害時等の非常事態にクラウドはその即応性や低コストから,きわめて有効にITインフラとして機能することが期待できる。クラウドを真に信頼して使えるインフラとし,また非常時にも止まることなくサービスを提供できる社会基盤とするためには,技術面,ビジネス面,行政対応,法的整備等,課題は多いが,クラウド間連携は現実のサービスとして動き出しており,このような取り組みを広め,また社会的に必要な対応を各方面で進めるとともに,このようなニーズとソリューションに対する理解と共通認識を深めれば,クラウドを「止まらないコンピュータ」にしていくことは不可能ではないと考えられる。