抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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確かなポリメラーゼ(pols;DNA複製酵素)により2,4-ジフルオロトルエン(F)を有し,Watson-Crick対形成能力を欠くチミジン三リン酸形状模倣体が高い配列選択性で複製された。この結果,効果的ヌクレオチド挿入のためには塩基対内の水素結合は全く必要でないことが分った。この形状相補性がDNA複製において塩基-塩基水素結合と同様の重要な役割を担うという立体仮説は広く生化学者間で認知されている。形状相補性モデルは高い電気陰性度を有しているにも拘らず分子内の有機フッ素は弱いH-結合受容体であるとの判定に基づいていた。この判定は小分子結晶構造,多数の物理-化学データ,及び計算機シミュレーション結果におけるフッ素環境に一致した。しかし,C-F・・・F,C-F・・・N,もしくはC-F・・・πなどの結合の弱さにも拘らず,フッ素が結晶充填及び蛋白質-リガンド並びにDNA-リガンド相互作用に直接もしくは間接的に影響を与える報告書が多数存在した。DNA二重鎖における,もしくはpol活性部位における類縁体の実際の構造データ無くして推定的に疎水性T(チミン)等価体が度々H-結合相互作用に係っていると認知することはできなかった。この報告書では最新の構造データに照らしてDNA複製の立体仮説を見直し,H-結合受容体としてのフッ素の役割を検討した。過去5年に亘り,著者らは2,4-ジフルオロトルエン(F)もしくは別のフッ素-修飾ヌクレオシド類縁体を含有するDNA及びRNAオリゴヌクレオチドの結晶構造を決定してきた。これらのデータに基づくDNA複製における形状の役割とフッ素のH-結合形成能力に関するさらに微妙な理解が進んだ。