抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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グリコシル化はタンパク質もしくは脂質へ糖鎖が付加する反応である。フラボノイド,ステロイド,トリテルペン,及び抗菌剤などの二次代謝物(もしくは天然産物)は糖により頻繁に修飾される。生成したグリコシドは多様な構造を含み,その内の一部は薬理的意味合いを持っている。グリコシドは2つの化学的及び機能的に独立した部位を有している,即ち,価値ある部位のアグリコンと水溶解性のみを増加させる糖部位である。糖部位がアグリコンの影響を受け特異的な構造特性を見せるこれらの複雑なグリコシドには,さらに類似のグリコシド結合を有し,かつ糖部分のみが単糖単位の種類と長さを異にする同族体にして,糖鎖構造に不均一性をもたらす”glycoform”混合物が共存していた。それ故,天然資源から相当量の均一性グリコシドを精製することは困難であることが分った。一方,化学合成を用いる均一性グリコシドおよびその同族体へのアクセスは可能であった。グリコシド合成は,アグリコン及び糖の合成,これらの連結,および保護基化の総括的操作を伴う。この解説書では著者らの経験と自然発生グリコシド合成例を繋ぎ合せて,グリコシル化反応を説明した。糖とアグリコンのグリコシド結合形成過程を基盤とする4つの戦略を用いて合成したグリコ脂質,フェノール性グリコシド,ステロイドグリコシドおよびトリテルペングリコシドを含めて18グリコシド合成について簡単に説明した。さらに,不均一性”glycoform”混合物の合成に向けて,逐次的および無作為グリコシル化反応について検討した。最終的に,求核性に劣り,極端に酸不安定もしくは極端に求電子性であるアグリコンのグリコシル化に挑んで2つの新しいプロトコルを開発した。1つはグリコシルトリフルオロアセトイミダート供与体を利用したものであり,他の1つはグリコシルortho-アルキニルベンゾアート供与体による金(I)触媒を用いたグリコシル化である。