抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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若者は,着物に対して興味や憧れといった肯定的な意識を持っているが,着物を着るにあたって着心地や着崩れといった様々な障害により着物を着ることが難しい現状にある。本研究では着物を着る上での大きな障害である着崩れのいくつかの要因のうち,主に,素材と着崩れとの関係に着目した。研究対象とした素材は,綿,絹,ポリエステル,セオα(ポリエステル系新素材)の4種で,まず,顕微鏡による繊維の観察,摩擦測定,KESによる生地の力学特性の測定によって生地の状態を把握した。次に,各種の素材を用いて試験衣を作成し,それを着装し3種の単純動作を行うことで,着崩れの方向並びに量を解析することによって,素材による着崩れ傾向の違いを評価した。また,解析によって“おはしょり”が着崩れの緩衝機構になっていることが示唆されたため,おはしょりの無い試作対丈着物についても製作し比較検討を行った。その結果,おはしょり有りの着物では,セオαの着崩れが最も少ない一方,綿の着崩れ量が大きいことが分かった。おはしょり有りとおはしょり無しを比較した場合はおはしょり無しの方が着崩れが目立ったが,セオαにおいておはしょり有りでは見られなかった新たな着崩れが生じ,おはしょりが着崩れに与える影響は素材によって異なることも明らかとなった。(著者抄録)