抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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米国の株式市場では,近年,大幅な流動性の上昇と取引コストの低下傾向が観察され,機関投資家は取引の注文分割により,1990年代と比較して高速かつ低コストでの個別銘柄の売買が可能となっており,その影響として株式リターンの予測可能性が低下し,同時に情報効率性の向上が達成されたと報告されている。本稿では,東京証券取引所上場企業の流動性が2000年前半以降大きく上昇し,それに伴い取引コストが低下したことを,1996年3月14日~2011年6月30日の個別株式ティックデータを用いて確認した。次に,株式所有構造と取引高の関係を分析することにより,流動性上昇・取引コスト低下が,東証における海外法人の活発な取引によりもたらされた可能性が高いことを示した。取引活動の活発化とそれに伴う取引コストの低下が市場効率性に与える影響を調べるため,市場効率性の定義と取引コストの関係について整理し,取引コストの低下は市場効率性を高めるとの推論を導いた。その上で月次データを用いた分析により,取引コストは株式リターンの予測可能性に影響を与え,活発な取引状況下では,既存の代表的アノマリーの一部についてリスク調整後リターンの規模が縮小する可能性を持つことを示した。