抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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鳥たちの多くは,毎年春と秋,数千キロあるいは,1万キロを超える長距離の季節移動,渡りをする。これらの鳥たちは,近年,渡りの過程でさまざまな環境問題に遭遇している。生息地の破壊,化学汚染,密猟,航空機や風力発電施設との衝突,鳥インフルエンザなどへの感染が,その代表である。その結果,渡り鳥の多くは急激に数を減少させている。あるいは,航空機や風発施設への衝突や感染症への感染などは,人の産業や健康,生命などにかかわっており,人の生活をめぐる社会問題としても注目されている。こうしたことから,鳥の渡り,とくにその経路や環境利用について知ることが生物学的にも社会問題としても重要になってきている。近年,科学技術の進歩により,人工衛星を利用して長距離の移動を追跡することが可能になった。この衛星追跡によって,詳細な渡り経路,経時移動様式,各中継地の相対的重要性,利用環境の特性,経路上の環境問題などを明らかにすることができるようになった。今後さらに追跡技術や解析方法が進歩すれば,より小型の鳥類をも対象に,より長期にわたって多方面のことがらを解明できるようになる。機器の小型軽量化と長寿命化,いろいろな生態情報をもたらす各種センサーの付加,安全で確実な装着法の開発などが求められている。そうした開発のためには,技術者と野外研究者の連携が必要である。また,研究の実施と研究結果の保全への利用には,国際協力が不可欠である。(著者抄録)