抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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地域の自然や環境特性を活かしたバイオマスや風力,太陽光発電等の再生可能エネルギーの利用は,サステイナブルな低炭素・環境負荷低減型地域社会の実現に貢献するものとして,多くの都道府県や市町村で取り組みが活発化している。また,中山間地域を中心に地方の地域経済が停滞する傾向にある中で,これらの自然・環境資源の多くは農山村地域にも豊富に存在するため,比較優位な経済資源として利活用することにより,地域経済が活性化する効果も期待されている。このような環境資源の生産・利用がもたらす地域経済効果を適確に把握し,その経済性を定量的かつ包括的に把握・評価する方法を確立することは,環境資源を持続的に利用する地域システムの構築に貢献するものと期待される。特に,環境資源の域内利用がもたらす地域経済効果の解明は,環境資源をはじめとする地域資源の地域内循環が移出産業の振興とともに地域経済の活性化を図る新たな基軸となる。本研究の最終的な目標は,地域経済が停滞する傾向にある中で,「地域の主体が連携・協働し,地域に存在する環境資源を経済資源として地域内で生産・利用する仕組みを構築することは,環境改善に貢献するだけでなく,地域の経済活力の向上に寄与することを定量的に示す」ことである。この目標に近づくための第一歩として,我々は真庭市の産業連関表をバイオマス取引きなどについてはサーベイ法を用いて構築し,それを用いて分析を行った。そして,分析評価として現在のバイオマス生産と利用についての地域経済効果に関して,「エネルギー代替による直接効果」と「域内循環による間接効果」という新たな効果概念を定義し,更にその計測を可能にするために現在の産業連関表からバイオマス生産を行う前の事前の産業連関表を再現する方法を提案,及び実施することによって,従来明かではなかった地域経済効果について新機軸からアプローチしたものである。実証分析の結果では,バイオマスの地域内生産・利用システムの構築が十分なエネルギー代替効果と域内循環効果を発揮しており,同時にバイオマスの相対価格の低さが地域に対して所得留保効果を生み出していることを明らかにした。その効果発現はバイオマスの地域価格形成に決定的に依存することが明らかになった。(著者抄録)