抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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性交が動物界において報酬であることは広く認識されている。本号のp.1351で,Shohat-Ophir等はDrosophila melanogasterを用いて,求愛行動の拒絶がエタノール消費のような報酬行動に与える影響を調査した。通常のエサと15%エタノール入りの餌が選択できる場合,交尾に成功したオスはこれらを等量消費したが,失敗したオスはエタノール入りの餌への強い嗜好を示した。しかしながら,交配を拒絶されたオスがその後交尾した後には,エタノール嗜好性を消失した。哺乳類において神経ペプチドY(NPY)はエタノール関連行動に影響し,マウスのNPY発現低下はエタノール消費増大を導くことが知られる。著者らはショウジョウバエのNPYホモログ神経ペプチドF(NPF)の脳での生産量が交尾の不成功により低下していることを見出した。さらに,交尾後のオスでも,NPF受容体の発現阻害によりシグナル伝達を低下させるとエタノール入り餌を好むようになることを示した。社会的相互作用と脳神経中枢における報酬系の働きの関係を理解する上で新たな見解をもたらした。