抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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核反応エネルギーを安全に利用するための方法は,深層防護という考え方に基づいている。原子力安全を確実にするため適用する深層防護には,技術的視点はもちろん,人間特性や組織論まで含めて考慮されている。東北地方太平洋沖地震の津波に被災した福島第一原子力発電所は,過酷事故に進展し,放出された放射性物質は環境を汚染し,放射能は人々に恐怖心を与え,甚大な損害と脱原子力依存の流れをもたらした。本事故が極めて稀な自然現象に対処する必要性を示していることから,設備故障や人間の錯誤に端を発する事故だけでなく,自然現象による外部からの施設への脅威に対する防護と,脅威にさらされ防護が破られた場合の備えに関する教訓をくみ取る必要がある。リスクに対する備えは社会全体の問題であり,地震,津波等,更には地球温暖化を含め自然に対する新たな知見は社会全体で共有し,後悔しない対策を,それぞれの社会的役割分担を有効に機能させて気づき,考え,行動しなければならない。原子力利用に伴う大きなリスクを顕在化することなくベネフィットを享受するには,社会が情報を共有し,それぞれの役割分担機能を認識し,相互の信頼性の醸成と牽制の調和が必要である。