抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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近年,地方自治体においては,住民福祉の充実や生活環境の整備,都市機能の活性化など行政需要が増大している一方,財政環境は厳しさを増しており,平成19年に夕張市は財政再建団体となった。その後,夕張市は人件費の大幅削減や公共サービス水準の見直し,さらに公共料金の値上げ等の様々な対策を実施し,約632憶円にものぼる負債の返済と自治体経営の再建を図っている。このような厳しい状況は,夕張市に限らない。そこで本研究では,CCR(Charnes-Cooper-Rhodes)モデル,CD-DEA(Context-dependent Data Envelopment Analysis)モデルなどにより,経営効率性と住民サービスの観点から,夕張市の財政破綻前後の変化を明らかにした。その結果から,次のことが考察される。1)夕張市の経営効率性は,破綻後で急速に改善されていることがわかった。2)CCRモデルによる破綻前の夕張市の経営効率性は,スコアは0.132で151位だった。さらに,住民サービス偏差値が高い状況(52.2)であったことから,住民サービスが過剰であったといえる。3)このように,住民サービス水準は,破綻前はかなり高い水準であつたが,破綻後は同じEレベルの北海道の市町村と比較した場合,平均(46.2)よりやや低い水準(44.9)となっていることがわかった。以上の結果から,夕張市の破綻前後の経営効率と住民サービス水準の変化が明らかとなった。特に,経営効率性の改善効果は極めて大きい。しかし,急速な改善に伴って,市職員と住民の負担感も極めて大きい状況であることが推測される。