抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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超音波バイオテレメトリーシステムは小型の超音波発振器(ピンガ)を用いて水中生物の移動や行動を観察する技術であり,ピンガから発せられる信号を探知する受信機は追跡型,設置型,および音響測位型の3種類がある。設置型や音響測位型は実験期間中調査海域に受信機を設置しておく必要があるが,船舶交通の輻輳する海域や漁業が行われている海域での受信機設置は困難である。これに対して追跡型はそのような制約を受けることがなく,機器の設置が他の2方式に比して簡単であり,広範囲の調査が可能であるという利点がある。これまでの追跡型では同期方式とSSBL(Super Short Base Line)方式を組み合わせてピンガ位置を知るシステムが開発されているが,この方式ではあらかじめピンガの初めの発信時刻と発信周期の較正が必要で,測距誤差を低減するための幾つかの工夫が必要であった。これに対して逆クロスベアリング方式ではピンガの同期を必要としないためシステム構築の簡便化が可能である。本稿ではこの逆クロスベアリング方式の測位システムを設計し,そのシステムから推定される測位精度を求め,実際の海域で得られた実測値と比較した。その結果,両者の精度分布の傾向が類似しており本研究で用いた精度分布図を用いることで実測された位置の精度を評価することが可能であると思われる。これまでの追跡型で得られた情報は対象生物が受信範囲内に存在するか否かのみであったが,本研究で用いた方式ではピンガの位置を約20mの精度で特定することができた。しかし,両者の精度を比較すると実測値の精度が推定値に比して劣化しており,この原因として考えられる実海域での実験環境による誤差要因を考慮し,方位の計算法や船の調査線の設定の改善,高精度GPSの使用などで実測精度を改善するのが今後の課題である。