抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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人には,多数の発話が錯綜する状況でも,特定の話者の発話に選択的に注意を向ける能力がある。このような音響的に複雑で聴取の難しい環境下で,聴覚系がどのようにして理解可能な発話を抽出しているのかは解明されておらず,そればかりか注意を向けた発話がどのように脳内表現されているかすらわかっていない。今回,同時に2人からの発話を聴いている被験者の皮質の活動を頭皮表面で多電極記録し,ヒトの非一次聴覚皮質での集団応答が,注意を向けた発話のきわめて重要な性質を符号化していることを明らかにした。2人の話者の混ざった声に対する皮質の応答から再構成した発話スペクトログラムは,注意を向けた話者に特徴的なスペクトルと時間の性質を示し,あたかも被験者がその話者の声だけを聴いているかのようだった。1人の話者の発話だけを例として識別訓練された被験者は,注意を向けた単語と話者の両方を聞き分けることができた。聴き分け課題の成績は,皮質応答が単一電極記録されたものであれ,集団レベルであれ,そこに見られる注意により調節される神経選択性の急速な上昇から十分予測可能である。これらの知見から,発話の皮質表現は,単に外部の音響環境を反映しているのではなく,聴取者の意図する目的と関連した認知的な相を生み出していることがわかる。Copyright Nature Publishing Group 2012