抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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1990年以降,九州各地のスギ壮齢林で樹冠の変色と葉枯れ症状を特徴とするスギ集団葉枯症の発生が確認されている。現状では具体的な対応策がなく,本症の原因解明とともに対応策の検討が急務となっている。本研究では,2010年3月~12月に大分県内全域を踏査調査し,その被害実態について発生林分の分布と衰退状況を把握するとともに,衰退症状の進行がスギの成長に与える影響を調査した。その結果,本症の発生林分の特徴はほとんどの被害が高齢級で発生し,若齢林での発生は少なかった。また,地域別の発生は中津市,日田市等の県北西部と佐伯市等の県南部に集中分布した。いずれも河川流域の山地斜面上に位置することがわかった。本県の県北西部は変朽安山岩上に,県南部は砂岩や粘板岩,石灰岩,チャート等の堆積岩上に被害林分が特徴的に分布する傾向が見られ,本症と表層地質の関連性が示唆された。DNA分析による品種同定の結果,被害が見られたのはモクトオシ,ヤブクグリ,イワオの3林分で,無被害はオノアオ種の1林分であった。発症木3品種はいずれも葉の変色と旧葉の枯死脱落を呈した衰退度3の症状であった。