抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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凝集沈殿法はリン除去等,幅広く水処理に用いられる技術であるが,リンの除去機構については不明なところが多い。筆者らは,硫酸ばん土を用いてカルシウム含有リン排水の凝集沈殿処理により発生する凝集汚泥をアルカリで溶解させたところ,アルカリに不溶な沈殿の生成を確認した。加えて,凝集沈殿で除去されたリンのうち,最大で40%程度がこの不溶性沈殿に存在することを確認した。この不溶性沈殿についてフーリエ変換赤外分光分析を実施するとともに,生成条件および生成メカニズムについて検討した。赤外吸収スペクトルより,不溶性沈殿はヒドロキシアパタイト(HAP)様の物質であることが明らかとなった。また,この不溶性沈殿は,凝集剤無添加の条件では生成せず,凝集剤添加時にカルシウムの添加量を増加させたり,凝集操作におけるpHを上昇させると生成が促進された。凝集操作により,凝集汚泥中にリン酸や水酸化物イオンが濃縮された結果,凝集汚泥中でリン酸と水酸化物イオンのイオン積が局所的に上昇し,HAP様物質が生成されたと考えられた。本結果より,今後,凝集汚泥からのリン回収・再利用を進めていくに当たり,酸やアルカリ溶解による凝集汚泥吸着態リンの回収だけでなく,HAP様物質の回収にも留意すべきであると考えられた。(著者抄録)