抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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オーストリア鋳物研究所における「鋳物部品における歪みと残留応力の数値シミュレーション」という4年のプロジェクトが終了した。このプロジェクトの目的は,十分に測定できる歪みをもつダイカスト鋳物の試験用サンプルを設計製作し,歪みを市販のシミュレーションソフトウエアでどこまでシミュレートできるかを検討することである。その成果の一部はすでに報告されているが,本論文では,V字型サンプルの歪みおよび残留応力の測定ならびにシミュレーションについて報告する。実験および研究対象材料はAlSi10MnMgおよびAlSi12(Fe)である。サンプル用鋳物部品の主な製造条件は,鋳込み温度690°C,鋳型温度60°C,180度,200°C,サイクル時間60秒であった。試験用V字型サンプルのモデル化およびシミュレーション計算は汎用ソフトウエアANSYSを用いた。このソフトウエアで,非定常温度解析,静的応力解析を実施した。熱伝達係数は,実測の温度場と計算の温度場が合うように決めた。鋳物部品と鋳型の間の摩擦は無視した。実施内容は次のとおりである。1)鋳込み後室温まで冷却した後,湯道取り外し前後のV字型サンプルの応力分布を計算した。2)鋳型温度と歪み量の関係を測定結果と計算値で比較した。パラメータは,溶湯が均一温度になってからの保持時間,鋳込み後の冷却方法(空冷か水冷か)である。3)湯道を取り外した後の鋳型温度と弾性スプリングバック量の関係図を測定結果と計算結果で比較した。パラメータは溶湯が均一温度になってからの保持時間,鋳込み後の冷却方法(空冷か水冷か)である。主な結果は次の通りである。1)歪み量は,測定結果とシミュレーション結果とでよく一致した。2)スプリングバック量のシミュレーション結果はAlSi10MnMgに対しては過少評価し,AlSi12(Fe)に対しては少し過大評価した。