抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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セミソリッド射出成形はダイカストに比べ低い温度で成形ができるため,燃焼性の高いマグネシウム合金の新しい成形方法として期待されている。本研究において,我々は鋳造条件が引張強さと内部鋳造欠陥に与える影響を調査した。AZ91Dマグネシウム合金のセミソリッド射出成形は,射出速度V=220mm/s,300mm/s,400mm/s,固相率f
s=0.0,0.3,0.4,0.5の条件下で行った。鋳造欠陥は射出速度の低下と共に減少するが,引張強さは射出速度300mm/sで最も高くなった。凝固組織を調査した結果,射出速度の上昇に伴い,射出時に液相であったα-Mgとβ-Mg
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12の混合相部分の組織が微細化することを見いだした。このため,鋳造欠陥がないならば射出速度の増加に伴い引張強さは向上すると考えられる。また,キャビティ内における温度測定を行った結果,射出速度を上昇させることによってスラリーの冷却速度が上昇することがわかった。これは,金型とスラリーの間の熱伝達率が流速の上昇によって向上したためと考えられる。一方,射出速度の上昇に伴い鋳造欠陥の量は増加する。このため,引張強さは低下した。成形時において射出速度を上昇させる際,鋳造欠陥の増加による強度低下効果と,液相部分の微細化による強度上昇効果が打ち消し合う。その結果,射出速度300mm/sのとき強度が最大となったと考えられる。このように,セミソリッド成形品における引張強さは内部に含まれる欠陥量だけではなく液相部分の組織の影響も受け,液相組織は射出速度の増加により微細化した。(著者抄録)