抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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蓄積された軽水炉の監視試験データベースに基づき,新たな脆化予測方法が開発された。まず,中性子照射によって鋼材中に生じるミクロ組織の時間変化を表す連立微分方程式を立て,これを解くことでミクロ組織変化を予測する。次に得られたミクロ組織の予測値,すなわちクラスターの体積率や転位ループの数密度を基に,転位温度の上昇量を計算する。この方法は,照射脆化研究により得られた知見を,直接的に予測式に反映できる方法である。この予測法を用いることで,ゆっくり照射される条件(沸騰水型軽水炉の条件)での銅含有量の多い鋼材の脆化や,加圧水型軽水炉で高い照射量まで照射された銅含有量の鋼材に対する予測の精度が大幅に向上した。この脆化予測法は,日本電気協会規格(JEAC4201-2007)に反映され,現在,国内圧力容器の照射脆化の予測法として用いられている。なお,銅含有量の少ない鋼材に対してはJEAC4201-2007の予測値は概ね妥当であるが,照射量が高い銅含有量の多い鋼材に対しては,予測値が実測値よりも低くなる例が認められるようになった。今後とも監視試験片のミクロ組織観察などにより照射脆化のモデルの検証を行うとともに,最新の知見を取り込んで脆化予測法を適宜見直していく。