抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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リボソームによるタンパク質合成は直線状に並んだ基質の上で行われるが,その速度は一定ではない。リボソームの一時停止は,タンパク質の局在化や折りたたみなどの,翻訳と同時に進行するさまざまな過程に影響する可能性がある。この一時停止はメッセンジャーRNAの塩基配列の影響を受ける。そのため,遺伝コードの冗長性によって,同じタンパク質でも異なる速度で翻訳が起こりうる。しかし,in vivoでの翻訳停止の位置と機序のどちらについても,得られた知識はごく限られている。今回我々は,リボソームに保護されたmRNA断片の大規模な塩基配列解読であるリボソームプロファイリングを使って,細菌の翻訳停止についてゲノム規模の解析を行った。この方法によれば,大半の転写産物について,リボソーム密度プロファイルの外部からの影響を受けない本来の発現レベルでの高分解能解析が可能になる。意外なことに,まれな転移RNAによって解読されるコドンは,栄養豊富な条件下での翻訳の減速に結びつかないことがわかった。その代わり,タンパク質コード配列内部のシャイン・ダルガーノ(SD)に似た配列が,広範な翻訳停止を引き起こす。我々は変化したアンチSD配列を有する直交性リボソームを使って,翻訳停止はmRNAと翻訳中のリボソームの16SリボソームRNAとの間のハイブリダイゼーションによって起こることを明らかにした。タンパク質コード配列では,内部SD配列は不利になり,これが使用の偏りにつながって,標準的SD部位に似たコドンやコドン対が回避される。今回の結果は,内部SD様配列が翻訳速度の主要な決定因子の1つであり,細菌ゲノムのコード化の全般的な推進力であることを示している。Copyright Nature Publishing Group 2012