抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
核酸塩基ラジカルは,核酸がγ放射線に曝されて生成する中間反応体のファミリーである。5,6-ジヒドロウリジン-5-イル ラジカル(1)は,水素原子付加による産物で,一本鎖または二本鎖RNAにおけるNorrish I型光開裂反応を介したケトン前駆体から独立に発生する。ラジカル(1)は5’側の隣接塩基で直接鎖切断し,ラジカル発生の初期で,わずかな量の鎖切断物が観察される。ここでは光化学的に5,6-dihydrouridin-5-ylラジカル(1)や5,6-dihydrouridin-6-ylラジカル(2)を発生する前駆体を含むRNAを合成し,その鎖切断反応を検討した。嫌気的条件下で二次構造上のラジカル(1)から鎖切断効率の依存性は,二本鎖RNAで,優先的におこる。また5’側の隣接塩基の種類を代えても鎖切断には全く影響しない事が示された。鎖切断で放出されるフラグメントの3’側はリン酸基を持つフラグメントの方がケトヌクレオチドをもつフラグメントの生成より優位であることが示された。この生成比は,酸性pHよりも中性pHの方が大きかった。ヌクレオチド間鎖切断は,(1)によって3’リン酸のβ脱離,次にC2’位の水素原子の抜き取りを介して行われる。続いて形成されるオレフィンカチオンラジカルが,競合する脱プロトン化経路から3’リン酸塩または3’-デオキシ-2’-ケトヌクレオチド末端を含むRNA断片を生ずる反応経路が示された。このケトヌクレオチド末端基は,低濃度のチオールの存在下でより多く生成するので,恐らくエノールからカチオンラジカルを還元することによって起こると考えられる。このチオールの競合研究は(1)由来の鎖切断がラジカル(2)由来の切断よりも著しく速いことと,後者が2.8kcal/molだけ(1)よりも安定であることを予測したG3B3法を用いた計算結果と一致していることからも推定できる。