抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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気候変動の結果,主として地域的な降水の減少によるが,地球温暖化により起こる蒸発の増加も原因となって,干ばつの頻度や激しさが将来増加すると予想されている。20世紀後半と21世紀初頭における過去の干ばつの変化についてのこれまでの評価は,干ばつの増加がすでに世界的に起きている可能性を示している。特に,パルマー干ばつ指数(PDSI)の計算から,その一因が地球温暖化にあるとされる干ばつの発生地域の増加に対応して,1970年代以降,世界的に水蒸気が減少していることが示されている。PDSIは,月ごとの降水と気温のデータを与えた簡素な水収支モデルから計算され,その簡便さから大規模な干ばつの評価のための魅力的な手法となっているが,気候変動という状況下では偏った結果を与える可能性がある。本論文では,PDSIが,気温の変化のみに応答するので最近数十年の地球温暖化に正しく応答しない可能蒸発量の簡易モデルを用いているため,過去に報告された地球上の干ばつの増加は過大評価されていることを示す。有効エネルギー,湿度,風速の変化を考慮した基本的な物理的原理に基づくより現実的な計算から,過去60年間にわたって干ばつの変化はほとんどなかったことが示唆される。この結果は,地球温暖化が水循環やその極端な事象に与える影響を解釈する方法と関連があり,年輪データに基づいて再構築された古気候の干ばつが,近年のPDSIに基づく記録と異なる理由を説明するのに役立つ可能性がある。Copyright Nature Publishing Group 2012