抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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Soonら(彼ら)が本誌の85頁で報告しているアブシジン酸(ABA)が誘発するシグナル伝達における興味ある分子的模倣の証拠について解説した。彼らはモデル植物のシロイズナズナを用いて,ABAが結合した受容体とキナーゼが交互にホスファターゼに結合して,このストレス応答経路を接続および切断することを示した。ABAがこのパートナーの取り換えにおける”転覆”的な行動の背後にいても驚くべきことではない。ABAのシグナルモジュールには三つの異なるタイプの蛋白質,ABA受容体のPYR/PYL/RCARのファミリー;2C型蛋白質ホスファターゼ(PP2C(ABI1,ABI2,HAB1を含む)),グループIIISUCROSE NONFERMENTING1 RELATEDキナーゼ(SnRK2.2,2.3,2.6)が関与する。ABAはその受容体の内部に存在し,二つのサブ構造体”ゲート”と”掛けがね”の配座変化により閉じ込められている。”ゲート”は受容体上にPP2Cを係留する新しい表面を創り,SnRK2を自由に自己リン酸化させ,その後,下流の標的をリン酸化する。受容体複合体が存在しなければ,PP2CはSnRK2を脱リン酸化し,シグナル経路を遮断する。彼らはSnRK2.6の活性化ループ内のホスホセリンからリン酸を除去する以外に,リン酸の結合は残存するキナーゼ活性をすべて抑制することを示した。この2段階機構の詳細を明らかにするために,HAB1-SnRK2.6の融合蛋白質を直線状ペプチドとして発生させた。この複合体の結晶構造解析から,SnRK2.6はHAB1に結合するABA受容体の表面を模倣することが明らかになった。受容体の”ゲート”と”掛けがね”の間の割れ目もSnRK2.6のC-葉領域のポケットが模倣している。彼らは分子的な模倣はキナーゼ-ホスファターゼ複合体が関与する多くの生物学プロセスで共通の機構である可能性を暗示した。またABAシグナルの核を伝達する蛋白質の構造研究はキナーゼ-ホスファターゼの共調節と共進化の新しいパラダイムを確立するとし,事実,偏重のある重要な生物学的決定において,これらの主なシグナル伝達蛋白質の競合的結合による転覆とだましが広がる様になる可能性がある。