抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本連載では,知的財産権の実施許諾(ライセンス)に際して課されるさまざまな制限について独占禁止法上の考え方を具体的に検討する。今号では利用分野制限と地域・顧客制限を取り上げる。1)利用分野制限:ライセンスの対象となる知的財産権を利用できる範囲を限定する行為のうち,地域・顧客制限を除くものを総称している。これにより,ライセンサーが自ら実施したい分野では自身を競争から保護し,自分では実施しない分野についてはライセンスすることで利益を得ることができる。また,分野ごとにライセンスすることで,当該分野において最適なライセンシーを選択でき,ライセンシーの投資の回収を容易にし,フリーライドを防止することができる。このように,利用分野制限は,一般に競争促進的なものであり,独占禁止法上問題となることは考えにくい。利用分野制限が独占禁止法上問題となった事件は見当たらない。2)地域・顧客制限:地域・顧客制限とは,ライセンスにより製造・販売できる地域を限定し,あるいは販売する相手方を制限することをいう。その競争効果は,利用分野制限による競争効果のうち,主としてライセンシーに関するものと同様である。ライセンシーに限定された排他権を付与して,投資や追加的な研究開発を促すとともに,成功した際には投資の回収を容易にし,フリーライドを防止する効果がある。地域・顧客制限について独占禁止法上問題となった事件として,価格制限等と併せて行われていた事例がある。