抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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最近Flora of China,Flora Malesiana,およびFlora of North Americaの地域のヌスビトハギ連を研究してきた結果,これまでシバハギ属Desmodiumに含められていたDollinera亜属(Schindler 1926,Ohashi 1971,1973)をOtotropisとして独立属と認めることとした。Desmodiumとは外部形態と花粉形態で異なっている。さらに,Ototropisは分子系統解析から単系統であると推測される。形態上の基本的な違いは円錐花序を持ち,各節に3-7花をつけ,小苞片があり,翼弁は竜骨弁よりも長く,単体雄蕊をもつことなどである。花粉形態は表面模様とfoot-layerがDesmodiumとは異なる。Ototropisは1839年にNeesがそれ以前のDesmodium sambuense(D.Don)DC.(1825)をOtotropis sambuensis(D.Don)Neesと別属にしたことに始まり,Endlicher(1840)は属名をDollineraとしたが,その後別属説は生かされなかった。しかし,1960年代に至るまでにこの種の近縁種が次第に記載されてきて多数が知られるに至り(Ohashi 1971,1973),今日では上記のような違いも明らかとなった。本研究では,Ototropisに13種1亜種3変種1品種を認め,それらを新たに4節に分け,その一つのsect.Ototropisを3列に分類した。また,節・列・種に対する検索表と2種O.elegansとO.megaphyllumについてはそれぞれ種内分類群に対する検索表とを作製した。属名Ototropisはギリシャ語由来で“otos”「耳」+“tropis”「花弁」から命名された。和名は台湾にも分布するタイプ種O.multifloraに対して(当時はDesmodium floribundumとされていた)早田文蔵の命名したフジバナマメを採用した。フジに似た花をつける豆「藤花豆」の意であると思われる。フジは蝶形花をもつマメ科植物を象徴する意味である。現在の本種の台湾名は「多花山ば蝗」で,「多花のヌスビトハギ」を意味する。...(著者抄録)