抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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歴史・自然環境に恵まれた奈良町北地区を事例として,親から子への居住の継承について検証し,地区全体としての居住地の持続性を考える資料を得ようとした。居住者の「単身化」と単身居住の動向に着目し,2000年時点の家族形態別にみた,家族規模の縮小・拡大の傾向から,単独世帯の住宅の特徴を示し,家族形態,および親子の居住形態の現況と動向を検討した。(1)2000年調査時から約10年の経過により,調査対象の238世帯のうち19件が,居住者の入れ替わりや,住宅が「空き家」「空き地」「駐車場」に変化し,そのうち10件は単独世帯の住宅の変化であった。また,単独世帯33件中15件に変化(空き家・空き地・駐車場化が11件,改築が2件,新築が2件)があり,住宅を建て替える事例は,単独世帯全体の約1割を占める。奈良町北地区において,単身居住の住み替わりは,住宅地の持続性につながる転機であり,親から子への居住の継承や新規流入による入れ替わりがなされない現状と,空き家・空き地化が予測できる。(2)2000年時点の家族形態と将来の子との同居・近居および独立の予定をもとに,家族規模の「縮小」「拡大」から単独世帯の住宅の特徴をみると,単独世帯には,長屋と借家が比較的多い。また,住宅規模が相対的に小さく,敷地面積,延床面積,居室数に関連性がある。(3)居住が継承されにくい問題については,住宅規模と町家の空間構成等の問題点が大きい。同一建物内での同居は,各世帯の領域を明確に仕切ろうとする住み方には向かないため,世代の住み分けを可能とする点で,町家に特有の中庭を介して「母屋と離れ」からなる空間構成の有用性が確かめられる。(4)子世代への居住の継承については,居住者の意識と実態に差があり,継承希望があっても,親子同居による居住の継承が実現しにくい状況がある。子への継承ではなく,孫への継承意向を示していたものの,現在空き家となっている事例が出てきている。継承の見通しは住宅の空き家化,建替えとの関連性があることから,居住の継承には限界がみえ,新規流入をうながし,住宅を改修していく方策を検討することが急務の課題である。...(著者抄録)