抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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京都府,和束,石寺地域における石英脈中の灰重石の変質生成物である2次タングステン鉱物を,XRD,SEM-EDS,EPMA,XRFを用いて分析した。結果として,anthoinite,mpororoite,およびhydrokenoelsmoreiteの3つのタングステン鉱物が同定された。はじめの2つの鉱物が日本で発見されたことは報告されていない。したがって,これは日本でanthoiniteとmpororoiteの最初の発見である。これら2鉱物は,灰重石を仮像で置き換える白色粉末状の混合物を形成する。混合物の化学分析は,Al/W比がおよそ1で,Fe
2O
3の含有量が非常に低いことを示し,たとえ元のmpororoiteがAl
2O
3を置換するFe
2O
3の含有量が高かったとしても,anthoiniteとmpororoiteの理想的な式が,それぞれWAlO
3(OH)
3とWAlO
3(OH)
3・2H
2Oであることを示唆している。これら2つの鉱物に加えて,別のタングステン鉱物が,灰重石仮像内に発見された。それは,最大長さ50μmの正八面体結晶の集合体として産出する。XRDデータはhydrokenoelsmoreiteとよく一致するが,化学分析は,主成分がWO
3,Al
2O
3,とH
2Oで,Fe
2O
3を含まないことを示している。これまで,古い命名法に従ってferritungstiteと呼ばれていた,Feを含有するhydrokenoelsmoreiteのみが,広く日本で発見されることが報告されている。本論文は,日本で初めて,このようなFeを含まないhydrokenoelsmoreiteの産出を報告するものである。和束におけるこれら3つのタングステン二次鉱物は,水とAl
2O
3の供給と灰重石からのカルシウムイオンの溶出が同時に起こった環境で形成された可能性がある。Alのソースは,石英脈中の白雲母の分解に起因している。(翻訳著者抄録)