抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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東京大学の石谷名誉教授が(社)産業環境管理協会(JEMAI)創立50周年に当たり,環境管理に対する同協会の役割について述べた。JEMAIの前身は1962年に設立された大気汚染防止工業協会であった。同協会は煤煙の測定,法規制の制定,煤煙防止技術の普及,処理施設の設置などに貢献した。大気汚染防止工業協会は1966年に産業公害防止協会へ改称し,環境アセスメント,大気や河川の現地調査を手掛けるようになった。1990年頃からオゾン層破壊,地球温暖化,酸性雨,森林破壊と砂漠化,海洋汚染などの問題が深刻となり,1993年に産業公害防止協会は産業環境管理協会に名称変更した。その後,JEMAIは公害・地域的環境汚染から広域・地球規模環境汚染へ対応するための制度設計へと重点を変更した。地球規模問題の最大の課題は化石燃料の枯渇と二酸化炭素による温暖化の問題である。これに対応するため,JEMAIはライフサイクルアセスメント(LCA)とカーボンフットプリント(CFP)を導入した。二酸化炭素の排出量と移動経路を量的に理解すると,環境負荷が明確になる。JEMAIもLCAとCFPを使用し,個別企業の二酸化炭素排出削減への情報提供をしてきた。二酸化炭素の排出量削減を実現するためには,国際協力のもとでの基準制定が重要である。しかし先進国と発展途上国の間の意見の隔たりが多く,国際基準の整合性調整に産業環境管理協会が効率的に進めることが期待される。