抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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近年,集中豪雨の頻発や流域環境の変貌により,洪水被害拡大の可能性が高まっている。こうした状況において,河川のみに限定した洪水対策では不完全であり,河川周辺の地形や土地利用を含めた流域対応による治水対策の検討が迫られている。本研究では,天竜川伊那峡上流域を対象として,1次元不等流モデルによる洪水解析と,明治,昭和,平成期の河川近傍の地形や土地利用の変遷を明らかにすることによって,洪水の特徴と防災に対する土地利用上の工夫や問題点を検討した。その結果,天竜川本流の洪水は,伊那峡によるせき上げに特徴づけられ,その背水は支流に著しい影響を与える可能性が大きく,伊那峡直上部では洪水のコントロールが難しいことが判明した。土地利用については,従来から高みに宅地を構え,洪水コントロールが難しい低地で水田耕作を行うなど,洪水被害を減ずる工夫がなされてきた。しかし,時の経過と共に,宅地が河川周辺の低地に侵入する傾向もあり,想定を超える災害に対して脆弱性が高まっている地区も出現している。以上,平成18年洪水を想定した洪水解析とGISによる土地利用解析から,その浸水域は狭窄部直上流部の水田域に限定され,被害の軽減が図られたことを実証した。(著者抄録)