抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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現在ベトナムには,1600社を超える日本企業が進出し,製造業が約半分を占めている。ただし,モノづくりの中心は組立て・加工で,部品の自国調達は極めて低い。ベトナム政府は,裾野産業育成を国家プロジェクトに定め,日本の中小モノづくり企業への働きかけを強め,2つの方策を提案している。第1は日本企業誘致推進策で,投資手続き簡素化,企業所得税優遇,土地貸借料優遇,製造に使う材料,部品の輸入関税免除と配当金の海外送金税免除の継続である。第2は,日本のモノづくり企業に限定した工業団地建設計画である。ベトナムには若くて豊富な労働力があるが,大都市近郊の労働力が不足傾向になるという予測と,大都市の高学歴な若者が,金融,IT,サービス業などへの就職を望む傾向がより強まるという予測もある。従業員5人以上の組織は労働組合を組織しなければならず,最低賃金も政府が決めている。国民休日は年間9日で,週48時間勤務である。社会保険,健康保険,失業保険の雇用者,被雇用者の支払い,会社都合の場合の退職金支払いの義務もある。法人所得税は25%,付加価値税は10%である。進出企業の事業展開を見ると,第1は,安い労働力を見込み,組立て・加工に力点をおいた輸出拠点としての事業展開,第2は,ベトナム内需製品を狙った事業展開,第3は,輸出と内需を組み合わせた事業展開である。これから進出を考える中小モノづくり企業の第1ステップは,製品を組立て・加工し日本へ輸出する事業展開から始め,第2ステップは,進出日本企業の受注を狙う事業展開,第3のステップは,多くの日本企業が進出しているタイ国やインドネシアからの受注である。基本戦略は,既存顧客向製品の生産をベトナムに移転し,中期的にはベトナム国内の日系企業を開拓し,長期的には,ASEAN諸国の日系企業を中心に新規顧客を開拓する手順が,成功の秘訣となる。